朝日新聞
サウジ、シーア派聖職者含む47人死刑執行 テロ関与罪
サウジアラビア内務省は2日、テロに関与した罪で47人の死刑を執行した。サウジの国営通信が伝えた。処刑された死刑囚の大半は国際テロ組織アルカイダのメンバーだが、同国のイスラム教シーア派高位聖職者のニムル師が含まれるため、シーア派の大国イランなどが反発を強めている。
サウジはスンニ派のイスラム教国だが、シーア派も人口の約15%を占める。
中東に民主化運動「アラブの春」が広がった2011~12年には、ニムル師らが隣国バーレーンのシーア派と呼応してサウジ東部で反政府デモを主導し、治安部隊に鎮圧された。地元メディアによると、同師は12年に逮捕され、火炎瓶を準備したり、宗派対立をあおったりしたとして、複数の罪に問われ、14年に死刑判決を受けた。イランは執行しないよう要請していた。
ログイン前の続き同氏の死刑執行を受け、イランの最高指導者ハメネイ師は3日、公式サイトで「サウジアラビアは神の報復に直面するだろう」とサウジ政府を強く非難した。ニムル師について「武装闘争を呼びかけたことは一度もない」と弁護した。また、イラン外務省の報道官は2日、「サウジはテロリストと過激派を支援し、国内の批判には抑圧と死刑で対抗している。高い代償を払うことになる」などとサウジ政府を強く批判した。
イランの首都テヘランでは2日夜、群衆がサウジ大使館前で抗議デモを行い、AFP通信や米CNNなどによると、参加者の一部が暴徒化し、大使館に火炎瓶などを投げ込んだり、館内に侵入して放火したりした。さらに、イラン北東部のシーア派の聖地マシャドのサウジ領事館前でも同様に抗議デモが起き、火炎瓶などが投げ込まれたという。AP通信によると、シーア派の多いイラクやバーレーンでも抗議デモが起きた。
サウジとイランは、内戦化したシリアやイエメンでの覇権をめぐって激しい対立を続ける。人権団体アムネスティ・インターナショナルなどによると、イランでもスンニ派住民を逮捕し、違法な宗教活動などの罪で死刑にするケースが相次いでおり、両国間の応酬が中東全体の宗派対立を高める恐れがある。(ドバイ=渡辺淳基、イスタンブール=春日芳晃)
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