2012年9月30日 日曜日
フィリピン人の店がある、と久米川の住民が言った。
彼の話はこうである。
・普段は夜、飲み屋が終わってから来るお客さんを目当てに営業している。
・だが日曜日は昼間からフィリピン人のためにランチをやっている。
早速、久米川駅のそばのマックの近くにある地上げに失敗したような一角に行ってみた。
ガラスの引き戸には黒いセロハンが貼ってあり、わずかに上の方から中の明かりと、OPENと書かれた文字が内側に見える。
本当に営業中だろうか、一抹の不安を覚えた。
勇気を出して引き戸に手をかけた。
カギがかかっていたら万事休すだ。
ガラガラガラと扉は開かれ、天使が現れた。
天使は僕の顔を見て驚き、怪訝そうな顔で言った。
「ここはフィリピン料理しかないけど、大丈夫ですか?」
「大丈夫です。フィリピン料理を食べに来たのです。」
人攫いを見たような顔が笑顔に変わった。
レジの前に鍋が四つテーブルの上にあった。
手前から、紹介します。
・①酢豚、
・②豚肉とシシトウを血で煮込んだ料理、
・③青梗菜とインゲンのピーナツソース煮込み、
・④豚足
血の煮込みは黒くなっていた。
韓国料理のスンデの色と同じで、天使が言うには少し苦いそうだ。
面白そうなので一番最初に食べた。
まずはスープを一口すする。
血の塩味を想像したが、しょっぱくも、苦くもなくかった。
ほんの少し辛かった。
豚肉は柔らかく、バラ肉をサイコロ状に切ってあり、美味しかった。
本来この料理は内臓を煮込むそうだが、臭いが強くなるのでバラ肉にして食べやすくした。
シシトウはよく煮込まれスープをたくさん含んでいた。
まるで血をいっぱい吸い込んだヒルを噛みつぶした時にプチっとはじける感じで、中のスープが飛び散った。
残りのお皿をどんどん食べていると、天使が声をかけてくれた。
「お口にあいますか?おいしいですか?」
「とてもおいしいです。」と答えた。
店内はフィリピンの5歳くらいの女の子がカラオケをしている。
歌っているのはEXILEのChoo Choo TRAIN。
英語も日本語も完ぺきだ。
美人のお母さんとの会話はフィリピン語だった。
5歳にしてすでにバイリンガルだった。
歌が終わるころ、天使が新たな料理をよそって持ってきてくれた。
「これフィリピンのおかゆです。」
ガツと生姜とご飯のおかゆでちょっぴり黄色い。
味付けがやさしくて食べやすい。
一通り自分でよそった皿をすべて食べ終え、二回目に突入。
ピーナツソースの煮込みをよそっていると、今度は違う天使が声をかけてくれた。
「この鍋は牛のテールが入っているの」
そう言って、鍋の底の方をかきまぜて肉の塊を見せてくれた。
ぼくが喜んで肉をとろうとするのを見て、彼女が言った。
「全部食べないでね」
ぼくはそんな大食漢に見えたのだろうか・・・。
とりかけた大きな肉の塊を遠慮して、小さな塊を皿に入れた。
赤いトウガラシのようなものは、唐辛子ほど辛くなかった。
このあと木場公園まで行って、ミャンマーの国民的行事に参加予定なので、
腹五分目で店をでることにした。
店の入り口付近は、フィリピンのスナック菓子や缶詰が売ってあった。
150円くらいからあるのでお土産にどうぞ。
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